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博士と彼女のセオリー (2015)

その恋のときめきは、宇宙論の研究テーマが定まらなかったスティーヴンにあるひらめきをもたらした。ロジャー・ペンローズが提唱する特異点理論を宇宙に応用できるのではないかと考えたのだ。それは、宇宙のすべてを説明するただひとつのセオリーをみつける第一歩に。が、その頃スティーヴンの身体に異変が起こる。何もない所で転んだり、チョークを持つ手が震えたり。しかもその症状は次第に重くなっていった。心配になって検査を受けたスティーヴンは、医者から思いがけない宣告を受ける。彼が患っているのは、脳からの命令が神経に伝わらなくなる運動ニューロン疾患。治療法はなく、余命は2年だという。ショックを受けたスティーヴンは寮の部屋に引きこもり、ジェーンとの連絡も断ってしまう。そんなスティーヴンの病状を彼の友人から聞いたジェーンは、すぐに寮の部屋を訪ねた。スティーヴンは彼女をクリケットのフィールドに連れ出すと、自分がどれほど身体の自由がきかなくなったかを見せつけた。しかし、ジェーンはひるまずにスティーヴンとの愛を貫く覚悟を決める。未来を悲観するスティーヴンの家族に対し「みんなで力を合わせて病気と闘おう」と宣言。スティーヴンと結婚する道を選択する。結婚2年目に長男のロバートが誕生。スティーヴンは、ジェーンの励ましを受けながら「時空の特異点」に関する論文を執筆し、博士号を取得する。それは、手を携えて2年の余命宣告に立ち向かった夫妻の努力の結晶だった。しかしスティーヴンの病の進行が止まったわけではなかった。友人たちが集まった祝いの席で、ナイフとフォークが使えず情けない思いにかられるスティーヴン。長女のルーシーが誕生したころ、彼は車椅子が手放せなくなっていた。1974年、スティーヴンは「ブラックホールの消滅」を提唱したホーキング放射の理論を発表。科学雑誌ネイチャーの表紙を飾り時の人となる。一方、2人の育ちざかりの子供の養育とスティーヴンの介護に追われる日々を送っていたジェーンは、自分ひとりですべてをこなすことに限界を感じていた。そんな彼女の様子を見かねた母ベリル(エミリー・ワトソン)は、気分転換のために教会の聖歌隊に入ることを勧める。これが、ホーキング夫妻とジョナサン(チャーリー・コックス)の長いつきあいの始まりだった。聖歌隊の指揮者としてジェーンと知り合ったジョナサンは、まもなくロバートにピアノを教えるためホーキング家に出入りするようになる。そしてスティーヴンの介護がどれほど大変かを知った彼は、自分も介護を手伝うと申し出た。それはジェーンにとってまたとない申し出だったが、家庭内に自分以外の男性が入り込むのを容認することはスティーヴンにとってはつらい決断だった。まもなくジェーンが第三子を妊娠。夫妻の周囲の人々は、ジョナサンが子供の父親ではないかと疑いの目を向けた。いたたまれなくなったジョナサンは一家から距離を置こうとするが、それをスティーヴンが「ジェーンには君が必要だ」と言って引き止めた。ジェーンとジョナサンがお互いに惹かれあっていることを知りながら……。数年後、オペラの公演に招待されてヨーロッパへ旅立ったスティーヴンが肺炎で病院に担ぎ込まれる出来事が起こる。ジェーンが大急ぎで現地に駆けつけた時、スティーヴンは昏睡状態で人工呼吸器につながれていた。彼を生かすには喉を切開して呼吸装置を付けなければならないが、二度と話せなくなる。医者にそう告げられ、命を失うか声を失うかの選択を迫られたジェーンは、迷いなく後者を選ぶ。結果、命をとりとめたスティーヴン。しかし彼とジェーンの行く手には、また別の試練が待ち受けていた……。

  • ジェームズ・マーシュ

  • 123分

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